最も近い痕跡を選ぶ
身体または着地時の装着物が砂に残した痕跡のうち、踏切線に最も近い端を使います。かかと・つま先のどちらかに固定するものではありません。手の痕跡が足より後方にあれば、その手の痕跡が基準になる場合があります。
そこから踏切線またはその延長線まで直角に測ります。足が実際に踏み切った場所へ測定の終点を動かしません。有効試技は直ちに計測し、1cm未満を切り捨てて記録します。
測定前に痕跡の縁を踏んだりピンで崩したりしないようにします。位置に疑問がある場合は、砂をならす前に着地担当同士で確認し、まず主審・主任と観察事実を照合します。担当間で解決できない争点や抗議が残る場合に、審判長へ報告します。
確認資料:TR29.8–29.9
鋼製巻尺で測る
痕跡の最も近い端へピンを垂直に置き、巻尺の零点を合わせます。踏切線側の担当は、線に直角になる位置へ巻尺を引きます。零点・ピン・読取位置のどれかをずらすと、同じ痕跡でも値が変わります。
巻尺は水平を保ち、たるみ・ねじれ・浮きを避けます。踏切線側で値を読み、記録担当が復唱して試技回と照合します。測定・記録完了の連絡後にピンを抜き、砂場整備へ移ります。
用いる計測器具の要件はTR10.2を確認します。競技会の区分による条件と、検査・確認された器具であることを照合します。柔らかい布製のメジャーや無確認の器具を、公認用の代用品と決めつけません。
確認資料:TR10.2:フィールドの計測 / TR29.9 / 審判ハンドブック2025–2026:フィールド
光波・科学計測は開始前と終了後を確認する
科学計測を行う場合は主任1人と計測員1人以上を置きます。種目開始前、審判長の監督下で複数の審判員が、機器の測定値と検査済みの鋼鉄製巻尺との一致を確認します。この動作確認用の巻尺は、国内ではJIS1級認証品を用います。
確認者全員が署名する適合確認書を成績表へ添付します。
ハンドブックには、開始前に2~3か所を測って確認する実務例があります。競技用の基準線・座標・水平距離への変換設定を点検し、機器の斜距離表示をそのまま跳躍記録にしません。細かな操作は型式ごとの手順書で確認します。
光波では、砂場のプリズム担当が正しい痕跡へ置き、読取担当が選手・試技回・結果を確認します。プリズムの傾きや位置ずれをなくし、読取完了を確認してから移動します。
競技終了後も確認と報告が必要です。通常は事前に印を付けた地点を再測定します。最初から巻尺で全てやり直すという意味ではありませんが、巻尺は現場に備えます。終了後は確認結果を審判長へ報告します。異常があれば、影響した記録と確認内容も伝えます。
スケール・映像計測・故障時の対応
『スケール』や『透視式』という通称だけでは、測定原理や公認用の適合を判断できません。型式、零点、照準位置、目盛、設置基準、認証・検証の状態を確認します。このガイドでは個別機種の認証状態までは確認していません。
VDMでは、距離用の較正と砂場の撮影範囲を確認します。踏切カメラと目的が異なるため、どの映像をどの担当が確認するかを区別します。身体や係員に痕跡が隠れる場合、映像が欠ける場合の手順も定めます。
機器の移動、通信断、設定変更があったら、値を推定して入力せず、痕跡を保持して主任へ知らせます。事前に決めた代替の巻尺計測や再検証へ移ります。計測できなかった試技の扱い・再試技は審判長の判断が必要です。
確認資料:CR28 / TR25.18・TR29.9 / 審判ハンドブック2025–2026:フィールド
