距離・無効・パスを書き分ける
走幅跳・三段跳の有効試技欄には距離を書きます。『○』は走高跳・棒高跳で成功を示す記号です。最高記録を丸で囲む記録実務と、有効試技を○だけで表すことも区別します。
空欄では未実施か記入漏れかが分かりません。大会指定の記録用紙・記録システムを使い、試技の状態をその都度記入します。
| 表記 | 意味・書く場面 |
|---|---|
| 6.20 | 有効試技の距離。単位をmとした欄で小数第2位まで記入。 |
| × | その試技が無効。失格とは異なる。 |
| - | その試技をパス。0.00や空欄で代用しない。 |
| NM | 結果として有効記録なし。個々の無効試技の記号ではない。 |
| DNS | 欠場。招集後でも一度も試技を行わなかった場合を含む。 |
| r | フィールド競技で試技放棄・離脱。競技者の申出を確認して記入し、その後は試技を再開できない。単発のパスと区別し、それまでの有効記録を消さない。 |
| DQ | 失格。結果には適用した規則番号を添える。 |
| Q / q | 予選で通過標準突破 / 成績による通過。上位8人への試技順表示とは別。 |
- 単独の走幅跳の途中終了に、DNFを機械的に付けません。
- 走高跳・棒高跳では○・×・-を高さごとに管理します。種目が変われば記録欄の意味も変わります。
架空の記録表で、距離・風力・順位を読む
各3回で終了する方式の架空の記録会です。通常の大会の試技数を示す例ではありません。下表は説明用の抜粋で、公式記録用紙の代用品ではありません。距離はm、括弧内は風力m/sです。
AとBの最高は同じ6.25mです。2番目の記録が6.12mと6.05mなので、Aが上位です。追風の小さい方を上位にする規則ではありません。Aの6.25mは追風参考ですが、競技会内の順位には使います。
| 選手 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 最高 / 順位 |
|---|---|---|---|---|
| 101 A | 6.12(+1.2) | 6.25(+2.3) | × | 6.25(+2.3) / 1位 |
| 102 B | 6.25(+1.0) | 6.05(−0.4) | - | 6.25(+1.0) / 2位 |
| 103 C | × | - | × | NM / 順位なし |
距離と風力は、丸め方が違う
距離は1cm未満を切り捨てます。6.257mなら6.25mです。踏切線から最も近い着地痕跡までを測り、距離の数字だけを丸めます。
風力は0.1m/s単位で正の方向へ丸めます。+2.03は+2.1、−2.03は−2.0です。計器の表示が既に規定どおりに処理されている場合、二重に丸めません。
風力の欠測は0.0と書きません。欠測時の欄の表し方は大会指定の方式を確認し、記録担当へ欠測した試技を特定して伝えます。追風+2.0m/s以下でも、記録公認には他の条件の確認が必要です。
確認資料:2026年 TR25・TR29:順位・計測・風力 / 2026年規則 正誤表(5月17日) / 公認記録規程 第3条
読取り・記入・照合・訂正の手順
CR19.4では少なくとも2人の審判員が試技記録を管理し、各ラウンド終了時に点検します。ハンドブックでは個別に記録し、記入の都度、相互確認することを勧めています。表示板の数値だけを原記録の代わりにしません。
- 計測担当が、選手番号・試技回を確認して距離を伝える。風力担当も同じ試技に対応させる。
- 記録担当が距離・風力・無効またはパスを記入し、もう一人の独立した記録と照合する。
- ラウンド終了時に記入漏れを確認。最高記録、同記録時の比較、後半の進出者と試技順を確認する。
- 訂正が必要なら、元の値・訂正値・理由・確認者が追える大会所定の方法で直し、表示や電子結果にも反映する。
避けたい対応:誤記を消して経緯が追えなくなること。訂正方法の『二重線・署名』を全大会共通の規則として断定すること。
大会指定の用紙と、新記録時の引継ぎ
大会名・期日・種目・区分・予選/決勝、選手番号・氏名・所属、全試技と風力、最高記録・順位・備考などを、日本陸連の指定項目を網羅した大会用紙にそろえます。後半の試技順や確認欄も所定の様式に従います。
新記録が予想される場合や新記録に相当する試技が出た場合は、主任を通して審判長・アナウンサーへ連絡します。計測・風力・機器検証などの確認資料をそろえ、新記録に相当する場合は備考欄へ記入し、主任の確認、審判長の署名を経て記録・情報処理員へ提出します。
表示された数値だけで『公認済み』と扱いません。未解決の抗議や欠測、訂正があれば備考・引継ぎに残し、暫定結果と確定結果を区別します。
